ミスリードの生贄にされている
耐震偽装マンション問題の解明も十分になされていないのに、どうやらこれがビジネスチャンスと踏んだ「検査ビジネス」者たちが、自分たちの得意分野である戸建ての方がもっと問題だと、ミスリードを開始している。
大手のメディアなどは定見といったものがないから、専門家がそういうならそうなんでしょうね、といった感じで、欠陥は戸建ての方が問題などと偽装問題と関係なく「検査ビジネスマン」が大喜びしそうなミスリードをしまくっている。
そのミスリードの生贄になっているのが瓦であったりするので、私としてはすっかりうんざりしているのであった。
最も、経験的にもコメントというのは得てして記者の都合のよい部分だけをつまみ食いされてしまうこともあるのだが。それにしても、である。こうしたミスリードに乗るのが嫌なら、コメントを拒絶すればいいだけの話なのだ。
それをほいほいと自らの商売になる、朝日新聞の「アエラ」に載りましたで、ビジネス的信用を高めるという作戦なのだろうか。正直、いやになります。
例えばこんな記事だ。
アエラからの記事より
『震度4で倒壊 重い屋根がネック81年以前は危険?』という大見出しが踊り、『耐震性に不安がある国内の住宅は、総戸数の4分の1にあたる1,150万戸もある。うち木造住宅だと震度6強の地震で、約70%が全壊するという国の試算まである。
もっとも81年以前の木造住宅なら、すべて危険というわけではない。明治、江戸期の民家の再生を十数戸手がけている一級建築士の今井俊介さんは言う。
「古民家は柱が太く、しっかりとした造りをしています。危険なのは部分的な改修をした建物です」』
当たり前じゃないか、と普通なら思う。古民家の改修・再生は現在の基準法に適合させているし、ホールダウン金物などもつけているものもあり、決して既存不適格のままではない。しかも、古民家の改修・再生って、どれぐらいの需要があると思っているのだろうか。年間1,000戸にも満たないレアなケースと一般住宅を同等に語るこの馬鹿馬鹿しさ。
さて、ここから記事は、瓦攻撃に移る。
無茶苦茶な例示
『例えば屋根。茅葺きだったのに過去に瓦に変えているだけで2〜5倍も重くなっている。昨年8月、埼玉県で震度4で倒壊した築約80年の木造住宅の屋根も瓦だった。
「屋根を軽い金属板にしたり、壁に筋交いや合板を入れたりした改修で耐震性能を満たすことは可能です。まずは家の今と昔の状態を調べたほうがいい」』(朝日新聞『AERA』2006.1.16)
これで、戸建て住宅の耐震性対応の何かを言ったつもりなのだろうか。茅葺き屋根から瓦への葺き替えと埼玉県で老朽化していた家屋倒壊とが同一に語られている。無茶苦茶な論理である。
昨年全国6カ所でCAサミットを開催したのは、こうした馬鹿げた妄言を退けるためのセミナーだったはずだが、何のためにやってきたのか、と愕然とする。
木造の建物は、基本的に地盤、基礎及び基礎との緊結、壁量によってその耐震性能は決定されるわけであり、瓦屋根だから耐震性能が低いなどとは、まともな構造を知っている人間ならいわない。さすがに基準法も記載を変えており、これまでは重い屋根、軽い屋根という区分であったのが、重い建物、軽い建物という言い方になっている。これは、屋根の重さだけで単純に耐震性能が決定されるわけではないことからきている。
しかも、現実の瓦では葺き替えにおいては土を使わない空葺き工法を薦めている。
瓦メーカーも問屋も工事店もきちんと理論武装をしよう
こうした、検査ビジネスが恐ろしいのは、摘発専門である、ということだ。例えば一日で修理ができるようなものまで「欠陥、欠陥」と騒ぎ立てるだけ。問題は、それが修理が可能なのか、修理するとすればどのようにすればいいのか、という具体を住まい手に示すことにある。
そうした実務的で実戦的な対応が、実は瓦業界にも求められている。とりわけ、今後葺き替え重要の増加においては。
したがって、瓦メーカーの営業マン、瓦問屋、瓦工事店もそうした理論的な武装が必要となる、と考えている。
ガイドライン工法においても、なぜガイドライン工法なのかをきちんと示せる人が少ないことに驚く。
これではいかんな。ということで、CA研究所監修・小野泰(ものつくり大学講師)著による『住まいの安心と瓦屋根−ガイドライン工法をより理解するために』という冊子を作成中で、今月末には発行する予定でいる。
是非とも、お読みいただきたいと思う。
また、3月には小野先生に三州にきていただいて営業マン等を対象として、この冊子をもとにしたレクチャーをお願いする予定でもいます。 |
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